Activities abroad海外での活動記録

ミャンマー児童図書改善事業

本の力を、生きる力に

2016~17年度
会長 林 明
国際奉仕委員長 金森 良充

 

事業概要

1.事業地概要

ミャンマー連邦共和国は南北に長く伸びる国土が特徴で豊富な天然資源を持ち、中国、ラオス、タイ、バングラデシュ、インドに国境を接している。面積は678,500㎢(日本の約1.8倍)で、首都はネーピードー。2011年に民主化後、急激に外資が流入し、「アジア最後のフロンティア」として海外企業から注目される一方で、改革の影に置き去りにされる貧困層・弱者が存在する。

2.ミャンマーの教育状況

小学校の純就学率は全国平均で86.4%(2012年)あるが、小学校を卒業できる児童数は、全体の74%(2013年)に留まる。家庭が貧困のため、両親の農作業の手伝いや日中、労働に従事したりなどの理由から、学校に入学できないもしくは退学を余儀なくされることが原因となっている。

3.公共図書館における児童サービスの状況

ミャンマーでは国家政策に基づき約55,000館の公共図書館が存在しているものの、実際に機能しているのは約4600の図書館にすぎない。多くの図書館では、館内で読書をする環境が整えられてなく、更に児童スペースは存在せず、児童向けの図書も漫画や雑誌が中心となっており小学生児童が図書館に通ってくる様子はほとんど見られない。

4.ミャンマーの児童図書出版状況

2011年の民政移管以降、児童図書出版(翻訳出版も含む)数は徐々に増えてきているが、多くが漫画や雑誌を中心としたものであり、絵本出版自体の数は少ない。出版されていても漫画的描写のものが多く、また外国絵本の翻訳版が多くを占めている状況である。

 

Ⅱ.活動内容

1.絵本コンクールの開催及び児童図書の製作

カウンターパートであるミャンマー作家協会との共催で絵本コンクールを開催した。今回のテーマは「平和」。過去の開催同様、作品の対象年齢を3部門に設定(3~5歳児、6~8歳児、9~11歳児)2016年2月から7月にかけて作品募集を行った。実施スケジュールは以下の通りである。

2016年1月:絵本コンクールの募集要項作成。テーマは「平和」
2月~6月:コンクール作品募集
7月:応募作品の選考
8月:受賞作品の発表式典、編集作業開始
9月~12月:編集、印刷作業
2017年1~2月:出版完了、図書館に配架

出版された絵本は公共図書館を管轄している情報省情報広報局により全国の図書館に配布される。


選考会議


完成した絵本の表紙

 

Ⅲ.絵本贈呈式

5月7日から12日までミャンマーを訪問し、公立図書館に絵本を寄贈した。昨年夏に地元で絵本コンクールを開催し、入選した作品がきれいな絵本となったので、商業都市ヤンゴンから自動車で5時間の世界遺産の街ピーで贈呈式となった。9日、気温41°Cのなか270名の児童が笑顔で出迎えてくれたNgar Ywa (ガーユワ)小学校で、移動図書館の読みきかせ、ゲームなどの活動を見学した。

次いでShwedaungシュエダン郡公共図書館で贈呈式に臨んだ。金森国際奉仕委員長と野田会員が絵本を地元の女の子たちに手渡した。喜ぶ少女からのお礼の言葉には、地元の作家の手になる絵本は子供たちに非常に人気があるという、遠路はるばる訪れたわれわれの苦労を拭い去る文言があった。協力ボランティ団体シャンティからは中原ピー事務所所長、山田、トータ、ティンミャンの4名が参加された。ただ訪問日程が現地との関係でゴールデンウィーク末と時期が悪く、多くの会員が参加できなかったのは残念である。来期は観光シーズン終わりの3月ぐらいに訪問できればと思う。

最後に、このような子供たちを喜ばせる絵本贈呈ができたのも協賛クラブがあればこそ、以下にクラブ名を挙げ、感謝したい。 高萩、日立港、大子、水戸、水戸南、水戸好文、古河(3)、岩井(2)、古河東、古河中央、岩瀬、つくば学園、つくばサンライズ、竜ヶ崎、玉造  計15クラブ 19万円

水戸西負担 21万円を加えて、合計40万円。


移動図書館を待つ270名の生徒


絵本を読む子ども達


贈呈した本を手に

(2017.07金森良充)